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2009年4月4日、チャンピオンカーニバルで実力王者・石井一太郎選手に挑戦。 |
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戴冠おめでとうございます。試合後数日過ぎましたが、どのように過ごしましたか? 試合が決まってから1ヵ月、ぴりぴりした緊張感があって、ものすごく一日が過ぎるのが速かったんです。試合まであっという間でした。だから試合が終わって、安堵感もあってか、なんだかヒマなんですよね(笑)ほんわかと。もちろん挨拶回りには行きました。なんか、何かしていないと落ち着かない感じで。動いてしまうんですよ。休みたいとも思わないし。今日も練習しようかと思ったくらい。ゆっくりしていられない感じです。 チャンピオンになった実感は、ありますか? 実感はありますね。故郷の岡山から見に来てくれた人がいたり、連絡していなかった仲間とかもずっと気にかけてくれてくれたことが、あらためてわかったりしてうれしかったです。 かなりの観客の数でしたが、予想していましたか? いやあ予想してなかったですね。多かったですね。自分からあまり「来てください」とお願いする方ではないのですが、たくさん来てくださって、ありがたかたです。 大観衆に囲まれてのリングでしたが、入場から勝利の後までずっと、冷静な様子でしたね。 それは試合前からこころがけていました。あたまが真っ白にならないように。落ち着いて、あわてないように。そうなってしまうと自分の粗が出てしまうので。今回は、空気を楽しむというか、へんに硬くならずにしようと。イチローみたいに、自分を実況してやろうかと。イチローがWBCの時そうしたらしいんですけど、「今リングにあがっています」とか、「どれくらい人がいます」、とか。自分を客観的に見るようにしました。相手しかみえなくなったら、自分は粗がでるタイプなので。自分で、自分が今何をしているかをちゃんと見えているようにしようと。自分を見失わず、コントロールできる状況をつくろうと心掛けました。 たぶん誰もがそうしたいと思うのでしょうが、なかなか実行するのは難しいですよね。いつもそういうふうに冷静でいられる自信があるのですか? いや、自信があったわけではないです。いつもはそんなこと考えないし、あのときはそれができた、ということです。真鍋(圭太)さんから「タイトルマッチは独特の雰囲気があるから、真っ白になるから、それだけは気をつけろよ」と練習中から言われていたので、そのイメージをしていました。実際リングに上がっても、できるだけ周りのことを気にしないようにしました。仲間や観客がたくさんいるな、とは思ったけど、そういう状況すべてを上から見ているような感じで。ふしぎな感じなんですけど、そういう感じでした。今までにはない感覚でした。以前は、お客さんが多いと緊張したりもしたんですけど。だから今日はあまり緊張しなかったですね。 初挑戦で、そのように冷静を保てたのはすごいことですね。 そういうイメージだったから、うまくいったのかな、と。いままでのような感じでやっていたら、とくに2ラウンドで、一気に相手が出てきた時にペースを崩されていたかもしれませんね。 ではその試合の話に移りますが、スタートから左ジャブがよくて、ペースをとりましたが、チャンピオンは2ラウンド、主武器の左フックを振って出てきましたね。そのときも冷静でしたか? ちょっと食って、くらくらっとしたのはありました。いつもだったらそこでカッとなってしまっていたかもしれないけど、その状況でも、すぐに建て直して、左からちゃんと組み立てよう、と自分に言い聞かせることができましたね。ちょっともらっても、自分はとにかくジャブから、と。それの繰り返しでしたね。今回は、自分のすべきことに徹することができた、と思います。 石井選手の試合はどれくらい見ていましたか? タイトル戦だけです。中森宏戦と川瀬昭二戦、それとランディ・スイコ戦を見ました。が、それほど恐怖感はありませんでした。スイコ戦がいちばん参考になりました。一発が大きいスイコに対して石井選手は左をついて動いてうまく戦っているな、とか位置どりが上手いな、とは思いましたが、石井選手にとってはやりやすい相手だったのかな、とも感じました。スイコは一発打つと次が出ないから、もっと細かく打って追えば当たるかな、というイメージも湧きました。それを今回、どれだけ通用するか確かめてみよう、と。相手の引き出しよりも、もしかしたら自分の引き出しの方が多いかもしれない、それを証明してみたいな、と思っていました。挑戦者だから、気持ちでは負けたくない。それは第一なんですけど、さらに、ボクシングの引き出しの多さも、自分が上回っているんじゃないか、と。それを、自分自身で確かめたいという気持ちがありました。 それを確かめることができたわけですね。 噛み合いというのはありますけれど、今回はそういう意味でとても自信がついた試合でもありましたね。これからは、自分が研究されるようになるわけですから、楽には 勝てないと思いますよ。でも、今回の石井選手との試合だけに関しては、 練習どおりできたかな、というのはあります。 実際リング上で向き合って、石井選手のパワーなどは感じましたか? やっぱりパンチはすごかったですよ。左フックはすごかった。飛び込んで左フックはききましたね。 倒れない自信はありましたか? ありました。後半になるにつれて見えてきたし、もらわなくもなってきたので。倒れないだろう、とは。もらわないほうがいいんですけどね(笑) 試合中、勝利を確信したのは何ラウンドあたりですか? もう最初から自分の調子はよかったんです。でも相手次第のところもありますし、長引く可能性もあるな、とは思いましたけど、実際、自分のジャブがとにかくよかったので、自信は出ましたね。試合の中で、もういけるだろう、と思ったのは、中盤以降でした。相手もがくっと落ちて。最初からボディをいっぱい打っていたのがよかったのだと思います。 今回は思い通りに戦えた、ということですね。 そうですね。思い通りに戦えた、と思います。 最後のシーンは覚えていますか? それが、よく覚えてないんです。とくべつ、倒したいと思っていたわけでもなくて。相手が引いたら打ち込んでやろう、出てきたらジャブで対処しよう、と、どのようにでも戦える感じでした。倒すなら連打で、とは思っていましたけどね。 ではダウンを奪ったのも、そういう試合の流れの中で? そいうですね、流れの中で、相手が下がったから出たんですね。流れの中でチャンスを逃がさないようにしよう、とは思っていたので。 勝った瞬間の気持ちを覚えていますか? うれしかったですね。うれしいですけど、おわった瞬間はよくわからなかったんですよ。おわってくれてよかった、とは思いました。ほっとした、かな。相手が効いてるのはわかったいたんですけど、なんで止められたのかわからなくて。たしかタオルが入ったんですよね? でも自分は見えなかったし、相手がまだ立っているのに、あれっ?って感じ。一瞬何がおこっているかわからなかった。で、コーナー見たら、みんな喜んでいるし、なんなんだろう? っていう感じで。 評価が上がっていた石井選手に勝った、というのは意義も大きいですね。 それが、ねえ。今回は自分のペースでボクシングできた試合だったんですけど、試合後、ちょっと調子狂わされました。控え室に来てくれたんですよ、石井選手が。なんて言ったかちゃんと覚えてないけど、たしか三垣さんおめでとう、だかありがとう、だか言ってくれたんですよね。自分は、勝負は勝たなくちゃいけない、どんな形でも勝つことが大切で、そういう気持ちで自分は戦っているので、負けたらもう次はどうやって勝ってやろうと思うタイプなんですよ。それなのに石井選手は、負けた方から挨拶に来てくれた。いさぎいいというか、人がいいというか……なんなんだろうな、この気持ちは。かっこいいな、と思いました。自分とは対照的な相手なんだな、と思いました。自分は、勝ってなんぼだと思うところがある。練習で強くても試合で負けたらカッコ悪い。ジムのみんなにもしめしがつかない。みんなの力があって試合ができるわけなので、自分は勝つのが務め。勝ちへの執念を見せなきゃいけない。それは、自分の信念で、自分だったら負けたら悔しくて相手のところへなんて行かないな、と思います。 今回、ひとつ気になったことがありました。タイトルマッチなのに、真っ黒のトランクスにMTジムのTシャツだけという非常にシンプルなコスチュームでしたね。それは何か意味があるんですか? そうですね。あんまり派手なの好きじゃないんですよ。パンツも自分で普通に既製品を買って、これで今回はやろうと。いつもは作ってもらっているんですけど、今回は挑戦者なので、心機一転、まっさらな気持ちでいこうかな、と。 さて、これからのことですが。 もうすぐにでも軽く動こうかなと思っています。試合の時期は会長、マネージャーにおまかせですけど、3ヶ月くらいはあくのではないか、と。それくらいのサイクルではやっていくのかな、と。チャンピオンで、追われる立場で、大変かもしれませんが、これからが楽しみなんです。今回は最後まで気持ちが切れることなく、自分の思い通りに戦うことができた。今までの試合にはない新しい感覚を味わうことができて、このイメージをずっと持ち続けたいと思うんです。これからがスタート、というような気持ち。ずっと挑戦者の気持ちで、いつもああいう闘い方ができるようにしたいですね。 ファンのみなさんも楽しみにしていると思います。あらためて、応援している皆さんにメッセージを。 ほんとうに、みなさんの応援があってボクシングができると思っています。ありがとうございます。 |
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